【知的障害と遺伝の関係】知的障害に男性が多い理由

「知的障害は女性よりも男性の方が多い」と感じる方は多いのではないでしょうか?
統計もその通り知的障害は男性の方が多いことを示しています。しかし、いったいなぜなのでしょうか?

遺伝と知能の関係についての話題というのは、あまりにもデリケートすぎる話題だからでしょうか?言及するサイトやブログは非常に少ないようですが、実は知的障害に男性が多いのは遺伝子の影響があるのです。

今回は『知的障害に男性が多い理由』と『知的障害と遺伝の関係』についてのお話を紹介します。

なぜ知的障害は男性に多いのか?知的障害と遺伝の関係

人間の性別の決定について

まず人間の性別はどのように決まるのかということをお話します。

人間の性別を決定しているのは細胞の中にある性染色体です。

男性ならXとYの染色体が並んでXYです。
女性はX染色体が2つ並んでいる状態XXです。Y染色体はありません。

伴性遺伝(ばんせいいでん)について

もうひとつ伴性遺伝についてお話します。

伴性遺伝とは、男女の性によって現れ方の違う遺伝現象のことです。
形質を決定する遺伝子が性染色体に乗っている場合に起こります。

ヒトなどXY型の性染色体をもつ生物では、X染色体上のみにあるごくまれな劣性遺伝子はY染色体に対立遺伝子がないため男性(XY)では発現するが、女性(XX)ではもう1本のX染色体にある優性遺伝子のために発現しません。

簡単にいうと、男性にのみ発現し、女性の場合は2本のX染色体のうち片方の変化だけでは発現しません。女性が発現する場合は、2本のX染色体両方とも遺伝子が変化したときに限ります。
血友病や色覚異常は伴性遺伝の代表例です。

遺伝性の知的障害『脆弱X症候群』

現在、唯一遺伝性であることが確認されている知的障害が脆弱X症候群です。
脆弱X症候群は1,500~2,000人に1人ほどの割合で発症する頻度の高い疾患です。

脆弱X症候群

  • 精神発達の異常, 学習障害から精神発達遅滞までさまざま
  • 注意力の低下ならびに多動性
  • 不安感と情緒不安定
  • 自閉症のような行動
  • 長い顔,大きな耳,扁平な足l
  • 関節の過伸展,特に手の指

特に男児では女児に比べて症状は顕著です。大部分の男児が精神発達遅滞を来すにもかかわらず、知能の障害を呈する女児は3分の1にすぎません。 残りの女児は正常のIQを持つか、学習障害を呈するのみです。感情や行動の問題は両性で見られます。

引用:難病情報センター

脆弱X症候群の遺伝子

脆弱X症候群の人の染色体は、X染色体の端に近い部分が細くくびれて、切れかけたように見えます。この場所に原因となる遺伝子があります。原因となる遺伝子には3つの塩基(CGC)が繰り返した場所があります。3つの塩基が反復して長い区間ができるために遺伝子が働かなくなり染色体の構造が変わってしまうのです。引き延ばされたように見えるのもこれが原因です。

脆弱X症候群は『伴性遺伝』

脆弱X症候群は伴性遺伝です。

つまり、X染色体に変化があれば男性は知的障害となりますが、女性の場合は2本のX染色体のうち片方の変化では知的障害にはなりません。2本揃って変化した場合にのみ知的障害になります。

片方だけ変化している染色体を持つ女性は保因者といいます。
脆弱X症候群は保因者の女性でも症状を起こすことがあるそうですが、その症状は軽く男性の症状とは違うようです。

まとめ

最近の研究によって知的障害の原因といわれるX染色体の遺伝子が次々と発見されています。遺伝子カタログを見ると、なんと150種類以上もあるのです。
多くの知的障害に関わる遺伝子がX染色体上に乗っていることを考えると、男性の知的障害が女性より多い理由は遺伝子の影響であると頷けるのではないでしょうか。